●掲載作品中のプログラム名、施設名などは、統一した表記に変更させていただいた部分があります。 ●「※」印が付いている作文のタイトルは、無題の作品に対して編集部がつけさせていただいたものです。
「私、テニス部に入る」 娘の言葉に、あんなに中学バレー部で苦しんだのに、どうしてと言う思いでしたが、私にできる事は、練習相手になることしかなく、メガロスのテニスに通うことにしました。
ただ私は、以前おたふくにかかり、左耳の聴力と平衡感覚を失なっていたので、振り向くことさえ恐くてできず、やっと少し走れる状態でした。又広い場所では、どこから音がするのかわからず、コーチに呼ばれても、コーチを探してしまうほどでした。
そんな感じで始まったテニスも、もうすぐ三年になります。何度も「やっぱり私には、無理」と辞めようと思いましたが、そんな時激ましてくれたり、笑ったり、アドバイスしてくれる仲間のおかげで続けてこれました。
私は、ソフトボール部だったので、どうしてもテニスの打ち方ができなくて、何度もコーチに教えていただいたのにそれでもできなくて…でもコーチは正しいフォームも教えてくれながら、私のフォームも受け入れてくれます。もし正しいフォームでなければダメだったら続けられなかったと思います。そして、耳が聞こえない事を伝えた時も、笑顔で「大丈夫ですよ」といつもさりげなく、気遣っていただいています。だからといって手加減する訳ではなく、私がもう少し頑張ればできるとても気持ちの良い練習で、きっと他の方も同じ気持で、練習の後「楽しかったね」と会話が弾みます。そして、聞こえなくなってからずっと通っている病院の検査で初めて異常が出ず、嬉しかったのと、テニスを続けること、運動することの大切さを知りました。
難しい練習も、すごく楽しみになってきた時、突然乳癌になってしまいました。言ったら気を使わせてしまうからと思っていたら、夜にメールが届きました。「人に心配かける事を気にしなくていい。友達だったら、甘えて当たり前。心配させていい…」って。初めて涙が出ました。子供にも言っていないから、泣ける所もなかったから…。そして、色々な方に励ましていただきました。こんな方々に出会えた事、本当にメガロスに感謝しています。そして、コーチは病気やけがの事色々学んでいてとても詳しいから相談したほうがいいよと教えていただいて、コーチに相談しました。とても親身になって聞いていただきました。
スクールの日、いつも通り思い切りテニスを楽しんで、帰りがけに「9月に戻って来るでしょ」って、コーチにこの作文用紙を渡されました。未来を考える事ができなかった私にとって、こんなに嬉しい言葉はありませんでした。本当にありがとうございました。
もうすぐ手術をします。私がどんな結果になったとしても戻って来たいと思います。
コーチは、私がどんな状態になったとしても、一番打ちやすいボールを渡してくれるから、大丈夫なんです。